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行政書士法の一部を改正する法律要綱
一 行政書士の使命
行政書士は、その業務を通じて、行政に関する手続の円滑な実施に寄与すると
ともに国民の利便に資し、もって国民の権利利益の実現に資することを使命とす
るものとすること。 (第1条関係)
二 職責
1 行政書士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公
正かつ誠実にその業務を行わなければならないものとすること。
2 行政書士は、その業務を行うに当たっては、デジタル社会の進展を踏まえ、
情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の
改善進歩を図るよう努めなければならないものとすること。
(新第1条の2関係)
三 特定行政書士の業務範囲の拡大
特定行政書士が行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手
続について官公署に提出する書類を作成することができる範囲について、行政書
士が「作成した」官公署に提出する書類に係る許認可等に関するものから、行政
書士が「作成することができる」官公署に提出する書類に係る許認可等に関する
ものに拡大すること。 (新第1条の4第1項第2号関係
四 業務の制限規定の趣旨の明確化
行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限規定に、「他人の依頼を受
けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」の文言を加え、その趣旨を明確に
すること。 (第19条第1項関係)
五 両罰規定の整備
行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限違反及び名称の使用制限
違反に対する罰則並びに行政書士法人による義務違反に対する罰則について、両
罰規定を整備すること。 (第23条の3関係)
六 施行期日等
1 この法律は、令和8年1月1日から施行すること。(改正法附則第1条関係)
2 その他所要の規定を整備すること。
主な改正点(令和7年法65号)
主な改正は、以下の5点。
- 行政書士の使命を法文に明文化
- 行政書士の職責(倫理/業務態度)を定める
- 特定行政書士の業務範囲の拡大 ― 特定行政書士が、行政庁に対する不服申立ての手続きを代理できる範囲を広げる。
- 無資格者による有償業務の規制強化 ― 報酬を得て行政書士業務を行う無資格者への制限を明確化。
- 罰則(両罰規定)の整備 ― 第19条第1項(無資格者業務制限)違反者および所属法人への罰則を明記。
これら改正による主なメリット
1. 国民(依頼者)保護の強化
- 質の高いサービス確保
無資格者が報酬を得て行政書士業務を行うことをより明確に禁止することで、依頼者が「専門性・信頼性の低い業者」にだまされるリスクを低減できます。 - 違反時の取り締まり強化
両罰(個人だけでなく法人にも罰則)を設けることで、不正な事業をやりにくくし、制度として健全性を高める。
2. 行政書士の専門性・信頼性向上
- 使命・職責の明文化により士業としてのステータス強化
「行政書士の使命」や「品位保持、公正・誠実な業務執行」が法律で明確に定められることで、行政書士という職業の社会的な社会的責任・倫理観が明文化され、信頼性が向上します。 - デジタル社会への対応義務
改正後の職責規定では、情報通信技術の活用を通じて国民の利便性を高める努力義務が盛り込まれており、現代社会における行政書士の価値を高める可能性があります。
3. 国民の利便性・権利救済の向上
- 不服申立て手続きにおける代理の拡大
特定行政書士が、不服申立て(行政不服審査など)の手続を代理できる範囲が広がるため、申請者本人が不服申立てをするのが難しい場合でも、専門家を通じて適切な手続きが可能になります。 - 迅速・簡易な救済
特定行政書士が行政不服申立てに関与することで、行政書士の経験・知見を活かし、「簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済」が期待される。
4. 制度の透明性・健全性の向上
- 制度のガバナンス強化
品位や実務精通の義務を定めることで、行政書士の業務運営がより透明で責任あるものになる。 - 違法業務への抑止力
罰則を明確化・強化することで、無資格業者や不正業務への抑止力が強まる。
主なデメリット・懸念点
- 無資格者・業者排除の強化と競争の制限
- 改正によって、行政書士資格を持たない者が「報酬を得て」業務を行うことへの制限が明確化・強化されます。つまり、無資格コンサルタントや企業がこれまでやっていた書類作成や申請支援事業が制約を受けやすくなる可能性があります。
- これにより、行政書士資格を持つ専門家間の競争は強まる一方で、中小の非行政書士企業やコンサルタントにとっては参入障壁が高くなる懸念があります。
- 罰則強化によるリスク増
- 両罰規定で、無資格者の違反行為者だけでなく、その所属法人にも罰金刑が科されるようになります。
- これにより、過失や解釈のあいまいさが問題になった場合、小さな事業者にも重い法的リスクが及ぶ可能性があります。
- 特定行政書士への負荷・格差
- 特定行政書士の不服申立て業務の範囲拡大は、依頼が増えることが予想されるが、その分責任・負荷も増加します。特に高度な知識・経験を必要とする手続を多く扱う場合、負担やリスクが大きくなる可能性があります。
- これによって、特定行政書士を増やす振興はされているものの、資格取得や実務を担う人・地域に偏りが出る懸念もあります。
- 職責義務(倫理・デジタル対応)の曖昧さ
- 「品位を保持」「誠実に業務を行う」義務、さらに「情報通信技術の活用に努める」という努力義務が導入されます。
- ただし、「努めなければならない(努力義務)」という表現であり、違反そのものに罰則があるわけではありません。そのため、義務の範囲や実際の運用で曖昧さが残る可能性があります。
- 制度の過剰規制化
- 改正によって制度としてのガバナンスが強化される反面、規制が過剰になり、柔軟な業務展開やイノベーションが抑制されるリスクがあります。特に、新興企業や斬新なビジネスモデルを持つ事業者にとっては自由度が下がる可能性が懸念されます。
- 試験・登録コストの上昇リスク
- 特定行政書士を目指す行政書士が増える見込みですが、それに伴い試験対策コストや研修コストが増える可能性があります。
- また、改正に伴って行政書士業務の責任が増すため、登録後の実務リスク(例えば訴訟リスクや苦情対応)が高まるかもしれません。
- 実務未成熟分野での負担
- デジタル化対応の義務はあるが、すべての行政書士が十分なITリテラシーやリソースを持っているわけではありません。特に地方や小規模事務所では、システム導入やIT対応コストが重荷になる可能性があります。


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