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らび行政書士事務所の行政書士 宇野琢磨です。一緒にいるのが愛犬らびです。
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急に家族が亡くなり、お金がない!【被相続人の預貯金の引出し】について簡単解説

相続関係
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葬儀費用や当面の生活費などで不安がり、相続手続きに時間がかかる場合には、これらの手続きをした方が良いと思います。

この手続きは、被相続人(亡くなった方)の口座から相続人が預金を引き出す際の特定のルールに基づくものです。通常、相続手続きが完了するまで、被相続人の銀行口座は凍結され、預金の引き出しは制限されますが、例外的に一定の金額まで引き出しが可能です。

このルールの詳細は次のとおりです:

  1. 死亡時の預金残高×1/3×法定相続分
    まず、被相続人が亡くなった時点での預金残高を基準に計算します。
    • 被相続人の死亡時の預金残高を基に、全体の1/3の金額を算出します。
    • 次に、それを法定相続人の持ち分(法定相続分)で分割します。たとえば、法定相続分が1/2の場合、1/3の金額の半分が引き出し可能額になります。
    法定相続分は、相続人の構成によって変わります。たとえば、配偶者と子どもが相続人の場合、配偶者が1/2、子どもが残りの1/2を等分する形となります。
  2. 150万円のいずれか低い額
    ただし、この引き出し可能額には上限があります。具体的には、上記で計算した額と、150万円を比較して、いずれか低い額が引き出せる金額の上限となります。

例:

  • 被相続人の口座残高が900万円で、相続人が1人(法定相続分1/2)の場合:
    • 1/3×900万円 = 300万円
    • 300万円×1/2 = 150万円
      この場合、ちょうど150万円が上限となります。
  • 被相続人の口座残高が600万円で、相続人が1人(法定相続分1/2)の場合:
    • 1/3×600万円 = 200万円
    • 200万円×1/2 = 100万円
      この場合、150万円より低い100万円が引き出し可能額の上限となります。

この引き出し手続きは、通常、相続手続きを進めるための資金や葬儀費用などに使われることが多いです。

被相続人の預貯金引出しのトラブル事例

被相続人の預貯金引出しに関するトラブルは、相続手続きにおいて非常に一般的です。このトラブルは、主に相続人の一部が無断で預貯金を引き出したり、遺産分割協議が整う前に預貯金を使用することで発生します。以下は、よくあるトラブル事例とその対処法です。

1. 相続人の一人が無断で引き出すケース

トラブル事例

  • 被相続人が亡くなった後、相続手続きが進む前に、相続人の一人が被相続人名義の銀行口座から勝手に預貯金を引き出すことがあります。この場合、他の相続人がその事実に気づかないと、遺産分割協議が適正に行われません。

問題点

  • 日本の法律では、被相続人が死亡した時点で、その遺産は全相続人の共有財産となります。つまり、遺産分割協議が完了するまで、預貯金を含むすべての財産は各相続人の合意なしに処分してはいけません。
  • 無断引き出しは、他の相続人の相続権を侵害する行為とされ、相続分を減らされる可能性があります。また、場合によっては不正行為と見なされ、法律的な責任を問われることもあります。

対処法

  • 無断引き出しが発覚した場合、まずは相続人同士で話し合い、引き出した預金を遺産分割の対象に戻すことが必要です。もし話し合いが難しい場合、家庭裁判所に調停を申請し、法的な解決を図ります。
  • 銀行口座の凍結:被相続人が亡くなった事実を銀行に伝えると、銀行はその口座を凍結します。口座が凍結されると、相続手続きが完了するまで預金の引き出しができなくなります。この措置により、無断での引き出しを防ぐことができます。

2. 通帳や印鑑の管理を巡るトラブル

トラブル事例

  • 生前に被相続人の通帳や印鑑を管理していた相続人が、そのまま預貯金を引き出し、他の相続人に報告しないケースがあります。特に、親の介護を行っていた子供が預貯金の管理を任されていた場合などで問題が起こりやすいです。

問題点

  • 被相続人の死亡前に預貯金が引き出された場合、そのお金が何に使われたのかが争点となります。介護費用や生活費として使われていたなら問題はありませんが、正当な理由がなく個人的に使用された場合、他の相続人から不正行為を疑われる可能性があります。

対処法

  • 使途の証明:預貯金を管理していた相続人は、被相続人の死亡前に引き出したお金の使途を明確にし、必要であれば領収書などの証拠を提出します。正当な支出であれば、トラブルを避けられます。
  • 遺産分割協議での精算:無断で引き出された預金については、遺産分割協議の中で精算することが可能です。たとえば、引き出した金額を相続分から差し引くなどの解決策があります。

3. 銀行の対応に関連するトラブル

トラブル事例

  • 被相続人が亡くなったことを銀行に伝えると口座が凍結されますが、この凍結解除の手続きには時間がかかることがあります。相続人の間で早急に預貯金を使いたい場合、口座が凍結されたままだと、特に葬儀費用や生活費の支払いに困ることがあります。

問題点

  • 凍結解除には、遺産分割協議書や相続人全員の同意書が必要なため、すぐに引き出すことができません。このため、急な費用が必要な場合に支払いが滞ることがあります。

対処法

  • 一部引き出しの申請:銀行によっては、相続手続きが完了する前でも、葬儀費用や急な出費に対応するために、相続人全員の合意を前提に一部の預貯金を引き出すことが可能です。この場合、引き出し額には限度が設けられることが多いです。
  • 銀行と事前の確認:被相続人が亡くなる前に、銀行の規定や手続きを確認しておくことで、スムーズな相続手続きを行うことができます。

4. 相続放棄によるトラブル

トラブル事例

  • 相続人の一人が相続放棄をした後に、他の相続人が預貯金を分割する際にトラブルが発生することがあります。特に、相続放棄をした相続人が既に預貯金を引き出していた場合、問題が複雑化します。

問題点

  • 相続放棄をした人は、最初から相続人ではなかったことになります。しかし、放棄前に預貯金を引き出していた場合、そのお金をどう処理するかが問題になります。

対処法

  • 返還要求:相続放棄した後でも、相続財産の一部を既に受け取っていた場合、他の相続人はその返還を要求することができます。これは、相続放棄者が相続人でなくなるため、引き出した預金が不正に取得されたと見なされるためです。

まとめ

被相続人の預貯金に関するトラブルは、相続人間での信頼関係を損なう原因となりがちです。無断での引き出しや預貯金の不正利用が発覚すると、法的措置に発展する可能性もあります。トラブルを避けるためには、早めに銀行に口座の凍結を依頼し、相続人全員で適切に協議を行うことが大切です。また、トラブルが発生した場合は、家庭裁判所の調停を利用したり、弁護士に相談することが有効です。

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